【イベント情報】丁柏晏 個展『沿路的夢話 Roadside Daydream』

2024年1月6日(土)〜1月21日(日)
13時〜19時 火水定休日

台湾の画家/漫画家、丁柏晏(DING Pao-Yen)の絵画作品をまとめた画集
「沿路的夢話」(mangasick)発行を記念し、関西初の個展を開催します!
こちらは東京・タコシェからの巡回展です。

丁柏晏と『沿路的夢話』について

丁さんは1988年台湾生まれ。
当初は画家として活動をスタートしましたが、ここ数年はインディー漫画の自由な表現に魅せられ、絵画と漫画の2つのジャンルを行き来するようになりました。
その漫画は高く評価され、自費出版漫画「Road to Nowhere」が2019年にフランスで商業出版。
2022年に刊行された台湾での商業デビュー作「2073年の電子玩具」も、今年の金漫賞で「Comic of the Year」を受賞しました。

そんな丁さんの、画家としてのキャリアでは初となる本格作品集『沿路的夢話』がついに刊行!
版元は台湾のポップ・サブカルチャーシーンの最重要拠点であり、シカクともゆかりが深い書店/ギャラリーのmangasick。
発売記念展は台北・mangasick、東京のタコシェと巡回し、大阪のシカクへとやってきます。

mangasickでの展示の様子

モチーフはSF映画やゲームなどのポップカルチャーからの影響が強いですが、その世界観は唯一無二。
不穏な空気は長い悪夢のようですが、人物のデフォルメにはどこかユーモアも感じます。

年々注目度の高まる台湾オルタナアートの最先端を、ぜひご覧ください!

版元のmangasickによる作家・作品紹介

画家として創作活動を始めたものの、丁柏晏(Ding Pao-Yen)はここ数年、漫画に重心を置くようになって、自費出版された漫画「Road to Nowhere」が2019年にフランスで商業出版されたり、2022年に刊行された台湾での商業デビュー作「2073年の電子玩具」も、今年の金漫賞で「Comic of the Year」を受賞した。

本人は「絵画の制作を怠けたな」と、後ろめたさを感じていたようだが、傍から見ると全然そんなことはなく、むしろ、そろそろ画集を出した方がいいのでは?と思って企画を提案したところ、OKを頂いた。

そして、私たちは画集の編集作業で、丁柏晏がこの十年間に制作した作品の膨大さを実感しただけでなく、二箇所同時開催の出版記念展で展示した、コロナの只中に描いた作品は、これから東京・大阪に巡回する余裕があるくらいの点数だった。

明らかにポップカルチャー(SF映画、ゲームなどなど)から絵のモチーフを取り入れる作家さんなのに、彼の絵はまるで親に全然似ていない子供たちだ。大人が作ったスタジオに潜入して、セットと道具を改造して遊ぶような無口な子だ。

そういう作品には、データベース消費の痕跡がほぼない。大衆がすぐ共感できるものではない。とはいえ、多くのオルタナ的な作品と比べば、じめじめや感情の抑圧/爆発は極端に少ない方だ。

初期から描かかれている、宇宙の真空と惑星の荒れた大地という彼の世界観の原風景は、絶対的に絶望な心象というより、自嘲交じりに孤独と焦慮(彼の漫画は正に「日安焦慮」(焦慮よこんにちは)というペンネームで発表してきた)を、静かに分解する装置のように見える。

日常にあるヘンテコさに着眼しながらも、別に社会に何かを訴えたいか自分の意志を語りたいから創作をするわけではない、というのが、もしかしたら台灣オルタナの流派のひとつかもしれない。

この流派の人たちが求めるのは、人気が少なくて休憩・ぼーっとできる場としての創作物だと思う。それが、薄っぺらい作品を生み出せる危険性は確かにあるが、その危険性を越えた先に丁柏晏の世界が存在することに、すごくほっとした。造形から台湾っぽさを感じられないけど、じっくり見ると、彼の絵ほど台湾の青年の内面を垣間見させるものはないのだ。

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