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歯車を読んだ

河童・或阿呆の一生

芥川龍之介の「歯車」を読んだ。
昔一度読んだことがあったけど、今より輪をかけてアホで人生経験の浅かった学生の自分は
「病気の人の話だなあ」ぐらいしか思わなかった記憶がある。

「歯車」が芥川自身の体験を書いたほぼノンフィクションというのは有名な話だ。
精神を侵され、行く先々に現れるレインコートを極端に恐れ、何をしていても精神の安定を得られない主人公。
私の周りには精神(心療内科系)の病気の人が何人もいるけど、
その人たちの感じているであろう世界がまざまざと描かれている。
この作品が文壇から大絶賛され、今日にいたるまで多くの人々に読み継がれているのに、
なんで未だに世間では、そういった病気に対する理解が薄いんだろう???

作品内で芥川は(主人公はのことだけど、あえてこう書くことにする)
屋根裏に住む1人の老人と話をし、彼に尊敬の念を抱く。しかし、

彼の勧めた林檎はいつか黄ばんだ皮の上へ一角獣の姿を現していた。(僕は木目や珈琲茶碗のひびに度たび神話的動物を発見していた)一角獣は麒麟に違いなかった。僕は或敵意のある批評家の僕を「九百十年代の麒麟児」と呼んだのを思い出し、この十字架のかかった屋根裏も安全地帯ではないことを感じた。

芥川の心の安定は、たった1つのリンゴで簡単に崩れてしまう。
また、精神の逼迫を感じた芥川は妻の実家のある避暑地に行って、つかの間の平和を手に入れるも、
その平和は妻の母との世間話によって、これまた簡単に崩れ去る。

実際この避暑地もまた「世の中」であるのに違いなかった。僕は僅かに一年ばかりの間にどのくらいここにも罪悪や悲劇の行われているかを知り悉つくしていた。徐ろに患者を毒殺しようとした医者、養子夫婦の家に放火した老婆、妹の資産を奪おうとした弁護士、――それ等の人々の家を見ることは僕にはいつも人生の中に地獄を見ることに異らなかった。

ここまで極端な例ではないにせよ、少なくとも私の周りで精神の問題を抱えている人は
皆こういう、綱渡りのような危うい精神状態で毎日を過ごしている。
そして綱から落ちてしまった日は、芥川のように睡眠薬をガブガブ飲んでフラフラしながら
『誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?』と願うのだ。

はじめの話に戻るけど、この作品の感想を探すと、誰も彼もが
「芥川はこんな気持ちで生きていたのか、辛かっただろう、死にたく理由がよくわかる」と言っている。
いやいや、こんな気持ちで生きてるの、芥川だけじゃないから。
大なり小なりこういう不安定な日々を送っている人、かなり多いと思う。
まあそういう人のことを理解しろ!とは言わないけど、もしどこかでその手の人に出くわしたときには
「ああ、この人は今歯車モードなんだな」と思って
多少のことは大目に見てあげてほしいなあ、という感じだ。

最後に、この小説でいちばん好きな比喩。

政治、実業、芸術、科学、――いずれも皆こう云う僕にはこの恐しい人生を隠した雑色のエナメルに外ならなかった。

つくった

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つい数時間前に「ホームページをやっぱり作り直す」と書いて色々触ってたんだけど、
数時間でそれっぽいものができた。
コード的な部分はほとんど触っていない。すごい時代になったなあ。

デザイナーやwebクリエイターなら、
テンプレートで作れるページじゃなくてオリジナリティを出さなきゃいけないだろうけど
個人でちょっと作品をまとめただけのページならこれで充分だ。
かつてDTPのソフトができたとき、「誰でも簡単に広告や雑誌が作れるようになった」と言われたそうだけど
今はそれがwebプログラミング界でどんどん来てる。

私はカラス口で引かれた直線、切り絵みたいな平塗り、一文字一文字描かれたレタリングなんかには
「おお美しき伝統の技よ」みたいな気持ちが沸き起こるけど、
プログラミングに対してはまったくそんな感情はないので
これからもどんどん進化を続けていってほしいと思います。

ホームページ

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ほとんど完成というところまでできていたホームページをやめることにした。すぐ影響されてブレてしまうところが私の悪いところだけど、作りかけのページも完全にそんな感じだったから。

やっぱりブログっぽい感じでトップページがどんどん変わっていくのがわかりやすくていいなあと思うので、このブログを利用してwordpressでなんか作ってみようと思う。

となると、やっぱりphpで多少のカスタマイズくらいはできるようになりたい、と思うのかも…

ドイツ語の勉強は楽しいけど、プログラム言語の勉強はあまり気が進まないので、割り切って他の人に任せるのも手かもしれない。そういう「ここまでは自分でできる、ここからは金払ってもいいから人に任せる」という見極めをうまくするのが、来年の目標のひとつです。